エデンの彼方でいつかまた
完全に留乃と関係者の姿が見えなくなると、瑞希はへなへなと和室に倒れこんだ。

「よくがんばったな、瑞希。かっこよかったぞ。さすがはおれの妻だ」

敬信は倒れ込んだ瑞希の頭を撫でる。

「めちゃくちゃ、怖かったです! でもこうしないと、また繰り返しになっちゃうから……」

瑞希は身を起こす。

「……天明さん、大丈夫かな。やり過ぎじゃないかな」

心配そうにしている瑞希の頭を、今度はグリグリと撫でる。

「あんなことで、へこたれるような女じゃないさ。また来るかもしれないぞ? まあ返り討ちにしてやるがな」

瑞希は敬信を見つめ、うなずいた。

「そうですよね。イラッシャイマセ、ですよね」
「そうだ。あいつも、どいつも気にくわないヤツは『il a chié et maché』だ」

二人は笑った。
あの二十一年前と同じ、心の底からの笑顔だった。

「瑞希。今度こそ会長に会ってくれ。ようやく会えそうだ」
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