君は見ていない
横浜駅前の献血コーナーで血を抜いた遙は、不意に空を見上げた。



そこには、ただ広がる青空があった。





長く続いた雨が上がり、澄んだ冬の空。



複雑な模様のビルの隙間から、のっぺりと浮かぶ。




濡れた地面を踏みしめる。



(──寒っ…)



遙は目線を空から切って、



ジョイナスのビルに入った。





暖房の入ったビルの中は、やはり過ごしやすい。



遙は午後から始まる講義を前に、



ドトールで時間を潰すことにした。


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