君は見ていない
横浜には、やたらドトールがある。



その中で遙は、受験生時代から「鶴屋町のドトール」を愛用してきた。




ここは割合静かで、塾にも近かったからだ。





傘を座席まで持っていこうとすると、店員に傘立てに置くよう注意された。




少しイラッときたが、こらえる。





(…お母さんの遺品だからなんて、言えないからなぁ…)




そんな事を思いながら、遙は席につき、バッグからクリアファイルを取り出した。




その中の封筒を、遙は探し出した。




…しかし、中は見なかった。






内容なんか、分かりきっていたから。





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