悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。




 ファウラはもう一度謝るが、ルイゼルトの態度は変わることはない。それどころか、両手を取られて密着するように顔を近づけてくる。




「へ、陛下っ?」




 急に早まった鼓動に、動揺した声が漏れた。謝罪して許して貰わなければならない立場だと言うのに、この期に及んでときめいてしまう。

 冷静になろうとすればするほど、どきどきと鳴る鼓動は止まることはない。




「ファウラは――」




 吐息交じりに名前を耳元で囁かれ、思わずファウラの体がビクリと震える。




「俺が怒っている理由をちゃんと把握できていないようだな」




 静かな怒りを含んだその言葉に、ファウラは慌ててこれまでやってしまった事を振り返る。お茶会で友達を作るどころか、最悪の結果で終ってしまった事。セーラに対して、きつい言葉を使ってしまった事。王女らしからぬ事が思い浮かび、自分の行いを深く後悔した。



「婚約者として、相応しくない振る舞いをしたから……?」


「はあ……そんなの初めて城で会った時からそうだろ?」


「うぐ……」




 痛い所を突かれてぐうの音も出ないでいると、諭すようにルイゼルトは真剣な眼差しでファウラを見つめた。





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