悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。




 吸い付くように口づけられて、感じたことのない刺激に、ファウラの口から甘い蕩けた声が漏れる。



「んっあ……」



 漏れた声にルイゼルトは唇を首筋へと移動させ、花の蕾を付けるように赤い印を付けていく。

 触れられる体にどんどんと熱がこもっていく。



「へ、いかっ……」


「それも気に食わない」


(それって一体なんの事言ってるの?!)



 ますます混乱していくばかりのファウラの頭の中は、疑問ばかりが渦を巻く。

 そのうえ恥ずかしさで、頭が茹で上がりそうになる。



「俺の女って分かっていながら、アイツの元へ行った。それで?アイツには何をされたんだ」


「陛下……私、なんの事を言ってるか分かんな――」


「式典でアイツと踊ったんだろ」



 式典でダンスを踊ったのは、ルイゼルトともう一人しか居ない。

 ようやく分かった人物の名前を口にして確かめる。



「エルディン様……のこと?」


「その名を呼ぶな」



 答えを確かめるだけに言っただけだというのに、ますますルイゼルトの怒りは大きくなる。







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