悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
「アイツに触られたところ全部、消毒してやる」
ちゅっとわざとらしく音を立てながら、口づけを落としていく。
胸元まで口づけて、ルイゼルトの熱い視線がファウラを搦め取る。吹き付けてくる吐息に体が痺れ、どうしてこうなったと頬が赤く染まったファウラの息が少し乱れた。
このままではどうにかなってしまいそうだと身じろぐが、上に伸し掛かるルイゼルトはさせないとより体を密着させた。
ファウラを見つめて視線は、欲したものを逃さぬようにと必死になっている。
ルイゼルトのその視線に、ファウラはもしかしてと言葉を紡ぐ。
「陛下……妬いてる、の?」
ファウラの言葉に、動きを止めたルイゼルトはふて腐れながらぶっきらぼうに言い放つ。
「――悪いか。俺のものだろ、ファウラは」
まさか嫉妬しているとは思わず、自分で言ったことだというのにファウラは目を丸くした。
少ししか関わりを持っていないエルディンに、気持ちが動くことはまず無いというのに。
「アイツは魔性の男だ。翻弄して、狙った女は逃がさない。そんな男にファウラは渡さない」
「ちょっと、なんで私がエルディン様に転がると思ったわけ?!私は陛下の――」
妻になるためにここに来たのだから、と。そう言いたかったが、その前に唇は塞がれた。