悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
「俺はファウラを愛している。その答えは変わらない」
真剣な眼差しでユトを見つめる紅い目は、一つの確かな想いを強く訴えた。
冷たい目を向けるユトは、その熱い想いに負けて静かに目を伏せ、息を零す。
敵わない、それは昔から分かり切っていた事なのだからと、渋々顔を上げた。
「はあ……まあ、こうなるだろうとは思ってたけど。案外早かったね」
「最初からこうなる事が分かってたのか?」
「そりゃあ、あんな熱い目をファウラ様に向けるんだから、嫌でも分かるよ」
気恥ずかしそうにするルイゼルトは、ふいと視線を逸らし散らかった文献へと向けた。どれだけ調べつくしてきたのか分からない量の文献に、唯一記された答えは一つ。
その答えに必要な、鍵になるファウラはもう当てにするつもりはルイゼルトには無かった。
(ファウラを使うなど、できるわけがない)
だからと言ってルイゼルトには残された時間はあまり無い。それが現状だ。