悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
それでもルイゼルトは諦めるような選択を選ぶ程、愚かではない。欲しいと言われた、自分自身の未来を失う訳にはいかないのだから。
「何か別の方法があるはずだ。国も、ファウラもどちらも選ぶ方法が」
「国を安泰させたいから、子供を作っておくとか言うかなと思ったけどハズれたか」
「……なるほど。それも悪くないな。寧ろ、今からでも――」
「ちょっ!言っておくけどっ、まだ婚約者っていう立場なんだから絶対にダメだからね?!」
慌てて止めてくるユトにふてぶてしい表情を浮かべつつ、ルイゼルトは込み上げてきた心地好さに思わず笑った。やってくる最悪の事態をどうにかしなければいけないと、今までなら頭を悩ませながら日々生きてきたというのに、ファウラを想えば全てが愛おしく思えていた。
ルイゼルトの中には、もう焦りはない。
なんとしてでも成し遂げるという確固な想いで燃えていた。