悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
「……こんなに……こんなに好きになっていいのか分からないくらいルイに惚れてるわ……」
「っ!」
これ以上のことは言えないと背を向けるファウラを、後ろからぎゅっと抱きしめるルイゼルトは壊したくないものを大切にするように優しく力を込めた。
「どうしてだろうな。ファウラを前にすると、自分が抑えきれなくなる。ずっとずっと触れていたくて堪らない。こんな気持ち初めてだ」
風に運ばれてやってくる花々の香りは二人を撫でるように流れていく。香りに背中を押されるように、ファウラも口を開く。
「私もルイに触れると、胸がいっぱいになるの。嬉しくて嬉しくて……」
「俺もだよ。ファウラ。幸せすぎて、どうしていいのか分からない。だから、俺の想いをしっかりと受け取ってほしい。――好きだ、ファウラ」
耳元で囁いたルイゼルトは、赤くなったファウラの頬に唇を寄せた。
優しい温もりを求めるように、ファウラは向きを変えて自らルイゼルトの胸に飛び込んだ。幸せそうに見つめ合う二人は、再び唇を重ねるとふわり風が吹く。
するとまるでそこに花の妖精がいるかのように、花びらが宙を舞い踊る。幸せそうな二人を祝福した花びらは、街へ、王都へと知らせるように高く舞い上がっていった。