悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
例え力の存在が知られたとしても
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一直線に城の中へと入っていった影を見失わないよう、息が切れても尚ファウラは逃がしてはいけないと、諦めることなくその姿を追った。
時折すれ違う者達から不思議な目で見られたとしてもお構いなしに、額に汗を滲ませながら走る。
見たこともない悪しき穢れの力の存在に、動揺と胸騒ぎを抑える事は出来ない。
(一体、この存在は何なの?皆が悪魔と噂してる存在ってもしかしてこれのことなのかしら……)
物に穢れの力が宿ることは、王宮や街で幾度と見て来て、それを浄化してきた。ただ、こうして影単体で動くのを目にしたことは今まで一度もない。
追いかけてはいるものの、もしかして自分の浄化の力が効かないとなったらどうしようと、不安が滲む。
だが、仮に効かなかったとしても足止めが出来るのはそう言った類のものを見ることが出来る自分しかいないのだ、と走ることを止めることはしなかった。
人に憑りつく事を恐れていたが、幸いすれ違う城の者は少ない。ただ我武者羅に走る影は、どこかに向かって進むばかり。
(何か嫌な予感がする)
何かを知って進んでいるような影の進み具合に、なんとか邪魔しようと試みるが俊敏な動きを中々封じることができない。息は乱れ、体力も残り僅かな状態に陥り、待ち伏せ作戦でも考えた方が良さそうかと思ったが、影の進む方向にある部屋を思い出す。