悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。





「ユト!」


「ファウラ様?!そんなに慌ててどうされました?!」



 突然のファウラの登場に驚きを隠せないユトは、落ち着かないファウラを宥めようと駆け寄ってきた。



「ルイは今どこに?」


「本日の仕事が早く終わったから、少し外の空気を吸いに行くと――」



 ユトの言葉を最後まで聞くこともなく、ファウラは一目散にある場所目がけて走り出す。

 誰よりも会いたいと願う人、そう思う相手も同じ気持ちだとしたら、向かうべき場所はただ一つ。



「はあっ……はあ、はあ……」



 息を切らして辿り着いたそこは、ファウラのお気に入りの場所。

 色とりどりの花が咲き誇り、漂う香りに乱れた呼吸は落ち着きを取り戻していく。








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