悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
「それでもファウラを知る度に、抑えきれない感情は大きくなっていつの間にか本気でファウラに恋に落ちていた。すまない、ファウラ。俺はファウラを利用しようとしていたっ……ただ信じて欲しい。俺は、ファウラを誰よりも強く愛している」
「大丈夫。ルイ、私も貴方のことを愛しているわ。どんなことがあったとしても、この気持ちは変わらない。私は貴方の事を信じるように、ルイも私のことを信じて。きっとどうにかできるはずよ。だって私達は互いを信じているんだから」
「ありがとう、ファウラ……」
震えるルイゼルトを包み込むようにファウラはそっと抱きしめて、頬に口付けた。
いっそこのまま二人だけの時間が続けばいいのにと願うが、現実は二人を引きはがす運命を突きつけてくる。
「ぐはっ……!」
「ルイ!?しっかりして!!」
ルイゼルトの体温は一気に下がり、胸を抑えて崩れていく。首筋に伸びた茨の痣が蠢き頬にまで伸びていく。
意識を完全に失ったルイゼルトの頭を膝に乗せようと手を伸ばすが、開かれた紅い目は闇に染まっていた。振り払われた手の音が、小さく響く。
ただならぬ空気に臆することなくルイゼルトの中に潜む影を見つめた。
「ルイを返して!」
『断る。契約は契約だからな』
ゆらりと立ち上がったルイゼルトを止めようとするが、近づくだけで見えない力に押し返された。その場に倒れたファウラに見向きもせずに、ルイゼルトの形をした悪魔は出口へと向っていく。