悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
契約悪魔
*
風に何かが強くはためく音に閉じていた目を開ければ、ファウラは見慣れることの高さにごくりを唾を飲み込んだ。強い風に揺れるクラネリシア国の旗は、いつもならこんな近くに感じることはまず有り得ない。
(どうして……さっきまで私、ルイに連れられた隠し通路にいたはずじゃ……)
先程までの景色とはまるで違う。薄暗い通路にいたはずだが、月明かりに照らされ見える景色は王都の輝きがしっかりと視界に映り込んでいる。
ここが城で最も高い塔の上の頂点だと言う事が分かっても、どうして自分がこんな所にいるのか検討もつかない。
夜風が頬を少し強く撫でていくのに目を細めれば、上から影が落ちた。
「色々と状況が把握できていない、と言ったところかな」
「ユト?!」
「はい。良かった。僕のことはちゃんと認識してくれた。気が動転していて、貴方誰!?と突き放されたりしたらとか色々想像してたのは無意味だったみたいだ」
「ユト、一体どうしてここにいるの?!」
「陛下が危ないから、移動しながら話すね。しっかり掴まってて」
腕に力を込め直したユトは、先程聞いた聞き取れない何かを唱えると額から角が生え、背中には漆黒の大きな翼が現れた。目を見開いてユトの姿を見つめていると、強い風を支配するように翼を広げて羽ばたいた。
風に何かが強くはためく音に閉じていた目を開ければ、ファウラは見慣れることの高さにごくりを唾を飲み込んだ。強い風に揺れるクラネリシア国の旗は、いつもならこんな近くに感じることはまず有り得ない。
(どうして……さっきまで私、ルイに連れられた隠し通路にいたはずじゃ……)
先程までの景色とはまるで違う。薄暗い通路にいたはずだが、月明かりに照らされ見える景色は王都の輝きがしっかりと視界に映り込んでいる。
ここが城で最も高い塔の上の頂点だと言う事が分かっても、どうして自分がこんな所にいるのか検討もつかない。
夜風が頬を少し強く撫でていくのに目を細めれば、上から影が落ちた。
「色々と状況が把握できていない、と言ったところかな」
「ユト?!」
「はい。良かった。僕のことはちゃんと認識してくれた。気が動転していて、貴方誰!?と突き放されたりしたらとか色々想像してたのは無意味だったみたいだ」
「ユト、一体どうしてここにいるの?!」
「陛下が危ないから、移動しながら話すね。しっかり掴まってて」
腕に力を込め直したユトは、先程聞いた聞き取れない何かを唱えると額から角が生え、背中には漆黒の大きな翼が現れた。目を見開いてユトの姿を見つめていると、強い風を支配するように翼を広げて羽ばたいた。