悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
血はつうっと静かに流れ落ちることなく消えるように魔石に吸収されては、どくんと心臓が脈打つように輝きを放った。
何か様子がおかしいとルイゼルトの元へと近づこうとしたが、再び見えない壁に押されてしまう。
「があぁあああっ!!」
突如縛り付けらた鎖から解放されようともがくルイゼルトが、大声で叫び苦しみ始めた。大きくなった禍々しい光は彼の中に取り込まれては、小さくなっていく。
紅い瞳が悲しむように、僅かにファウラを映していた。
最後に何かを言葉を紡いだルイゼルトの声は、急に鳴り響く地響きの音に無残にも掻き消されて消えていく。神殿の床には亀裂が走り、足場が崩れていった。
ルイゼルトにこれ以上近づいては行けない、そう言われているように。
「さあ!我が神よっ!この世界に威を振るいたまえ!!」
ハヒェルが持っていたブローチに自らの影を投じ、仕上げだと足元に魔法陣を描き更に血を求める魔法陣に短剣で腕を切った。痛みよりも快楽に溺れ、浮かんだ表情は幸福に満ち溢れた。