悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
小さく微笑むと、どこか難しそうなルイゼルトの表情も和らぐ。
歩調を合わせバージンロードを歩ききると、神父は祝福の言葉を唱えた。
(こんな幸せが訪れるなんて……思ってもいなかった)
神父の言葉を聞きながら、ルイゼルトに出会ってからの日々を思い出した。
政略結婚でこの国へやってきて、すれ違う日を乗り越えて見つけた先で掴んだのは、こんなにも相手を愛しいと思う気持ち。
街の人達と交わした幸せになるという約束も、隣にいるルイゼルトのお陰で果たすことが出来た。
これから先に待ち受ける未来には、一体どんなことが待ち受けているのか想像がつかない。それでも怖くないと思うのは、ルイゼルトを信じる強い気持ちがあるから。
誓いの言葉を唱えたファウラの左手を取ったルイゼルトは輝かしい結婚指輪をはめた。
「これでファウラは俺のものだ。もう絶対に離さない」
「……!」
指輪をはめて、そのまま薬指に軽く唇が触れる。幸せが込められた結婚指輪をそっと撫でて幸せを噛みしめる。