悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
だが、負けじと王女としての姿勢を変えることなく真直ぐにルイゼルトを見つめた。
「先の件だが、無事解決したと報告しておこう」
「それはそれは……お見事でございますね」
「ああ。そなたに怪我がなくて良かった」
「陛下?ファウラ殿下?一体なんの話を……?」
二人のやり取りに着いて行けないユトは、困惑した声で質問するがルイゼルトは答えなかった。
その態度に冷静さで王女を演じていたファウラだったが、そろそろ我慢の限界だ。
街の皆の幸せを守るため、そう思えば我慢できそうだったが、旅の疲れもあってかそう長くは持たなかった。
「約束の時間に遅れるし、服は血塗れだし、おまけに世間知らずのお嬢様と言われるし……!色々と我慢の限界なんだけどっ!!」
「おまっ!今の場の流れ的に、穏便に今はやり過ごすのが正解だろうが!!」
「そうね。でも私、振り回されるのだけは嫌なのよ!新しい道を歩み始めたなら、なおさらね!!」
「あのなあ……!」
遠慮なしにルイゼルトの元へと向かい、腰に手を当てて逃がすものかとじっと見つめた。