悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
ツンとした態度のルイゼルトを小さく睨みつけてから、目の前の食事に戻ったファウラは、あっという間に食べ終わると、わざと椅子の音を立てて勢い良く立ち上がった。
いきなりの事に驚いたルイゼルトは、目を見開いてファウラを見つめる。
「ご馳走様でしたっ」
「おい、いきなりどうした」
「別に!」
距離が縮まるどころか離れていくことに、寂しさを隠しきれない。怒りがあるというのに、どうしても悲しさが勝ってしまうのだ。
庭園の散歩も誘ってみたのに断られたことが、妙に胸を痛みつけてくる。やはり、政略結婚となれば、互いに干渉し合わないというのが鉄則なのだろうかと、自分の行動に後悔する。
花をわざわざ摘んで部屋に届けてくれるルイゼルトとは、もしかしたらいい関係を作れるのかもしれないなどと思い上がっていた自分が馬鹿らしいと、熱くなる目頭を感じて踵を返した。
「……お金で全てを解決しようとしないで。お金で買えないものだってあるんだから」
今にも泣きそうな声で呟いたファウラの言葉は、ダイニングルームに小さく響く。これ以上この場には居られないと、早足で自室へと戻る。