悪魔な国王陛下は、ワケあり姫をご所望です。
国王陛下の顔のに戻ったルイゼルトの横で、貴族達に挨拶を一通り終えて、邪魔にならないよう移動しようとするが、後ろから声が掛かる。
「殿下。一曲お願いしても?」
「エルディン様……!」
「ふふ。覚えて頂けて光栄です」
すっと取られた腕に困惑するが、何もしないで立っているよりはマシだろうと、紳士的なエスコートに身を任せた。再びステップを踏みながら踊っていると、刺さるような視線が飛んでくるようで変に力が入る。
視線に気づいたのはエルディンも同じで、踊りながら苦笑する彼に首を傾げた。
「すみません。巻き込んでしまいましたね」
「と、言うと?」
「実は、ご令嬢方から色々迫られておりまして。本当だったらこんな形でお誘いするつもりはなかったんですけど……」
「なるほど。色男は大変ですね」
最初に出会った時よりも、顔がげっそりとしているのはそのせいかと納得する。