それは手から始まる恋でした
「プレゼントはここにあるだろ。俺にご褒美頂戴」

 高良はそう言うと私にキスをしてきた。彼の手は私の手を堪能している。ゆっくりとソファーの上に押し倒された。今日のキスは長い。絡めあう舌はお互いの愛情を示すように優しく甘くとろけるようなキスだった。

 十分に私の手を堪能した高良の手はゆっくりと別の場所に移動していく。高良の指の一本一本に私の体は反応していた。高良の唇は私の頬に移動し、耳に吐息を吹きかける。耳は初めてだった。体中に電気が走ったようにぞくっとした。高良はその反応を見逃さなかった。私の耳で遊んでいた高良の動きが止まった。

 あれ? 私何か変なことした?

 高良は顔を上げて指で耳たぶを触りだした。

「紬。最高だな」

 高良はそう言うと再び私の耳を咥え、舌で遊び始めた。何が最高なのだろう。全く持って文脈が読めない高良の発言はあっという間に私の頭から消え去った。
 
 お互いを求めあう行為はこんなにも幸せに満ちたものなのだろうか。

「紬」

 高良は優しく私の中に入ってきた。今まで進めなかったその道はゆっくりと高良の為に開かれていった。

 初めての夜はあっという間に過ぎていった。何度も何度も高良は私を求めてきた。翌日が休みでよかったと心から思った。

 目が覚めて隣にいる高良を私は見つめていた。私の初めての人。私の人生の絶頂期は今なのかもしれない。彼の頭を撫で、最後にキスをした。高良はゆっくりと目を開けてニヤッと笑い、私を求めてきた。
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