それは手から始まる恋でした
　明らかに高良は疑いの目で見ている。どうしよう。港は害のない男友達だからこれから2人で会っても問題ないよね的な展開を期待していたのにそうなる気配が1ミリたりともない。

「仁ちゃんは紬のこと遊びなんでしょ？」

　じ、仁ちゃん？　フレンドリーキャラの港なら通用しそうだけど、この流れではいくら何でも通用しないよ。

「本気です」
「本気って言っても結婚するまでの遊びでしょ？」
「何が言いたいんですか？　永井さんは紬のことが好きなんですよね？」
「僕のことは関係ないよ。僕はただ、早く紬のことを解放して欲しいなって思ってさ」
「しません。紬が俺のところを去るまでは放しません」
「他の人と結婚しても紬がよければ傍に置くの？」
「そんなことはしません」
「じゃあ、遅かれ早かれ君は紬を捨てるってことでしょ。それとも紬と結婚でもするの？」
「港、もうやめて。心配してくれているのはありがたいけど、それは私たちの問題だから。私はまだ仁と一緒にいたい。だから大丈夫。自分で決めたんだから」
「紬を泣かせたら僕が黙ってないからね。僕はいつでも紬を君から……とにかく、僕は紬と会いたいときに会う。心配なら君もついてくればいい。2人だったら飲みに行かせないとかどれだけ肝が小さいんだよ。紬も紬が決めた道なら僕は応援する。でも一人で抱え込まずに今までみたいに僕を頼って。僕はいつだって紬のオアシスなんだから」
「ありがとう港」

港は立ち上がり、そのまま帰っていった。

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