それは手から始まる恋でした
会議室に入ると彼は私に隣に座るように指示してきた。
「向かいの席ではだめですか?」
「隣の方が教えやすいからな。早く座れ」
「はい」
彼の隣の席に座った。彼の綺麗な顔が隣にあると思うだけで心臓がバクバクしてきた。説明が耳に入らない。
「聞いているのか? 英語はどのくらいできる?」
「あっすみません。全くできません」
「そうか。じゃぁこれは当分自分でやるか。そのうち慣れてきたら波野さんも対応できるようになるだろうし」
「えっと、それは英語を勉強しなきゃいけないってことですか?」
「安心しろ。すぐにってわけじゃないし、必要なら英会話だって経費で習わせてやる。俺が空いた時間に個人レッスンをしてやってもいい」
「あの、何故そこまでして私なのでしょうか」
「勘だ。波野さんとなら上手くやれる気がする」
いつもキリっとした執事顔なのに今日の高良は少し違う。笑顔まで見せてくるし、その笑顔は乙女心をくすぐるなんとも言えないかっこよさだ。
「よろしく」
高良は立ち上がり、また握手を求めてきた。だがこの二人だけの空間で高良と握手をして心臓がもつ気がしない。
「どうした? 顔赤いけど俺に惚れたか?」
「惚れません。私、仕事とプライベートはきっちり分けるタイプなので」
「それはよかった。俺もそうだからな。ほら、握手しよう」
「しません」
「なんでだよ」
「むしろ何故握手ですか?」
「これからよろしくって握手だろ」
「さっきしたじゃないですか。しかもなんかニギニギしてきたし。私の手を触りたいだけなんじゃないですか?」
「そ、そんなわけないだろ。なんでお前の手なんか」
「それでは握手はなしで。よろしくお願いいたします」
「そうか。まぁいい」
そう言うと高良は私を抱きしめてきた。
「な、な、なんですか?」
「なにを騒いでいる。海外営業部だぞ。あいさつ代わりのハグくらい日常茶飯事だ。男にハグされて動揺するなんてまさか……」
「動揺なんてしていませんよ。ハグくらい私だって日常茶飯事ですよ」
嘘です。神様ごめんなさい。男性に抱きしめられるなんて初めてです。
一体全体私は何をしているのでしょうか?
「向かいの席ではだめですか?」
「隣の方が教えやすいからな。早く座れ」
「はい」
彼の隣の席に座った。彼の綺麗な顔が隣にあると思うだけで心臓がバクバクしてきた。説明が耳に入らない。
「聞いているのか? 英語はどのくらいできる?」
「あっすみません。全くできません」
「そうか。じゃぁこれは当分自分でやるか。そのうち慣れてきたら波野さんも対応できるようになるだろうし」
「えっと、それは英語を勉強しなきゃいけないってことですか?」
「安心しろ。すぐにってわけじゃないし、必要なら英会話だって経費で習わせてやる。俺が空いた時間に個人レッスンをしてやってもいい」
「あの、何故そこまでして私なのでしょうか」
「勘だ。波野さんとなら上手くやれる気がする」
いつもキリっとした執事顔なのに今日の高良は少し違う。笑顔まで見せてくるし、その笑顔は乙女心をくすぐるなんとも言えないかっこよさだ。
「よろしく」
高良は立ち上がり、また握手を求めてきた。だがこの二人だけの空間で高良と握手をして心臓がもつ気がしない。
「どうした? 顔赤いけど俺に惚れたか?」
「惚れません。私、仕事とプライベートはきっちり分けるタイプなので」
「それはよかった。俺もそうだからな。ほら、握手しよう」
「しません」
「なんでだよ」
「むしろ何故握手ですか?」
「これからよろしくって握手だろ」
「さっきしたじゃないですか。しかもなんかニギニギしてきたし。私の手を触りたいだけなんじゃないですか?」
「そ、そんなわけないだろ。なんでお前の手なんか」
「それでは握手はなしで。よろしくお願いいたします」
「そうか。まぁいい」
そう言うと高良は私を抱きしめてきた。
「な、な、なんですか?」
「なにを騒いでいる。海外営業部だぞ。あいさつ代わりのハグくらい日常茶飯事だ。男にハグされて動揺するなんてまさか……」
「動揺なんてしていませんよ。ハグくらい私だって日常茶飯事ですよ」
嘘です。神様ごめんなさい。男性に抱きしめられるなんて初めてです。
一体全体私は何をしているのでしょうか?