それは手から始まる恋でした
「どうして泣いてるんだ。俺のせいか? 悪い夢でも見てるのか?」
頬に触れる指の感覚、高良の落ち着く優しい声、はっきりとは聞こえてこないが何となく分かる。これは夢か。こうして欲しいと思う私が見せる夢。私はぼやけた視界で高良を見つけて抱きしめた。
高良は私の頭を優しく撫でている。私は高良にキスをした。高良は優しく答えてくれた。夢だとこんなにも大胆に素直になれる。それなのに現実では何故できないのだろうか。
「ごめん、紬。これ以上は俺が我慢できなくなる。穂乃果がいるからさすがにできないし」
高良がそう言って私を離した。
「……夢?」
「寝ぼけてんの? どうりで大胆だと思った。いつも寝ぼけてればいいのにな」
高良は私の頭を撫でながらもう一方の手で私の頬をさすっている。涙の後を消しているようだ。
「ごめん、穂乃果が寝るまで隣に居ろってうるさくて。でも触れてないからな。離れて本読んでた」
「う~ん」
「やっぱり駄目だった?」
「う~ん。ギリOK。港にそう言われたら私もそうしちゃうだろうし」
「ダメだ。絶対ダメ。言われても部屋に入るな。男と女じゃ違う」
「何それ? でもそうだね。やっぱりダメ。穂乃果さんに言われても入らないでね」
私は笑顔でそう言った。私が同じことをしても高良はこんなに必死な顔で嫌がってくれるんだ、私と同じなんだと思うと嬉しくなった。
「可愛い。紬ずっと俺の側で笑ってろ」
「イーだ」
「ガキか。ケーキありがとな。ていうか、あの量多すぎだろ」
「だって家の中なら人目気にせず沢山食べられるでしょ。だから家でスイーツビュッフェしようかなって」
「ケータリング頼めよ。あの量買って帰ってくるの大変だっただろ」
「うん。結構大変だった。ケータリングなんて思いつかなかったけど、思いついてもきっとしなかったと思う。仁が好きなのはどれかなって選ぶ時間も楽しかったし」
「ああ、もう。なんで今日に限ってそんなに可愛いことすんだよ。タイミング悪すぎ」
「タイミング悪いのそっちでしょ」
「ごめん。謝るついでにいくつか穂乃果が食ってた」
「別にいいよ。本当は仁と一緒に食べたかったけど」
「俺はまだ食ってない。今から食うか?」
「太る」
「じゃあ明日?」
「今」
私たちはこっそりとリビングに移動し二人で高良の誕生日を祝った。ケーキは甘かった。ケーキも高良も甘かった。
「口開けて、あ~ん」
高良は、シュークリームを私に食べさせたが、私の口には大きすぎた。
「クリームまみれ」
「わざとでしょ」
「拭うな。俺が食べる」
高良は私の手を掴み、拭うのをやめさせると私の口の周りについたクリームを優しい舌使いで食べていく。私達は我慢できずに少しだけ長くて甘いキスをした。高良と私の手はいつものように絡み合っていた。
頬に触れる指の感覚、高良の落ち着く優しい声、はっきりとは聞こえてこないが何となく分かる。これは夢か。こうして欲しいと思う私が見せる夢。私はぼやけた視界で高良を見つけて抱きしめた。
高良は私の頭を優しく撫でている。私は高良にキスをした。高良は優しく答えてくれた。夢だとこんなにも大胆に素直になれる。それなのに現実では何故できないのだろうか。
「ごめん、紬。これ以上は俺が我慢できなくなる。穂乃果がいるからさすがにできないし」
高良がそう言って私を離した。
「……夢?」
「寝ぼけてんの? どうりで大胆だと思った。いつも寝ぼけてればいいのにな」
高良は私の頭を撫でながらもう一方の手で私の頬をさすっている。涙の後を消しているようだ。
「ごめん、穂乃果が寝るまで隣に居ろってうるさくて。でも触れてないからな。離れて本読んでた」
「う~ん」
「やっぱり駄目だった?」
「う~ん。ギリOK。港にそう言われたら私もそうしちゃうだろうし」
「ダメだ。絶対ダメ。言われても部屋に入るな。男と女じゃ違う」
「何それ? でもそうだね。やっぱりダメ。穂乃果さんに言われても入らないでね」
私は笑顔でそう言った。私が同じことをしても高良はこんなに必死な顔で嫌がってくれるんだ、私と同じなんだと思うと嬉しくなった。
「可愛い。紬ずっと俺の側で笑ってろ」
「イーだ」
「ガキか。ケーキありがとな。ていうか、あの量多すぎだろ」
「だって家の中なら人目気にせず沢山食べられるでしょ。だから家でスイーツビュッフェしようかなって」
「ケータリング頼めよ。あの量買って帰ってくるの大変だっただろ」
「うん。結構大変だった。ケータリングなんて思いつかなかったけど、思いついてもきっとしなかったと思う。仁が好きなのはどれかなって選ぶ時間も楽しかったし」
「ああ、もう。なんで今日に限ってそんなに可愛いことすんだよ。タイミング悪すぎ」
「タイミング悪いのそっちでしょ」
「ごめん。謝るついでにいくつか穂乃果が食ってた」
「別にいいよ。本当は仁と一緒に食べたかったけど」
「俺はまだ食ってない。今から食うか?」
「太る」
「じゃあ明日?」
「今」
私たちはこっそりとリビングに移動し二人で高良の誕生日を祝った。ケーキは甘かった。ケーキも高良も甘かった。
「口開けて、あ~ん」
高良は、シュークリームを私に食べさせたが、私の口には大きすぎた。
「クリームまみれ」
「わざとでしょ」
「拭うな。俺が食べる」
高良は私の手を掴み、拭うのをやめさせると私の口の周りについたクリームを優しい舌使いで食べていく。私達は我慢できずに少しだけ長くて甘いキスをした。高良と私の手はいつものように絡み合っていた。