それは手から始まる恋でした
ここを拠点に新居を探して仕事も見つける。正社で入った会社をブッチしたってなったら次は見つかりにくいよな。高良に会わずにどうやってやめるべきか。代行サービスもあるけど何となくそれは使いたくない。
「とりあえず今日は気晴らしにデートしよう」
「デート?」
港の口からデートしようなんて高良の影響でこうなったとしか思えない。私のオアシスを汚染したな。
私は港と外に出て素敵なランチをしてジェットコースターに乗って叫び、映画鑑賞で号泣とまぁ俗にいうデートっぽいことをした。
「疲れた……」
「確かに詰め込みすぎたね。紬先にお風呂入って。軽く夕食作るから」
「何から何まで本当にありがとう」
「どういたしまして」
港との久しぶりの家飲みは楽しかった。私にとって本当に港はかけがえのない友達だ。港が彼氏や旦那じゃこんなに楽しめないだろう。もし高良と最初からやり直せるのなら私は彼の友達を選ぶだろうか。
ただの同僚は嫌だ。じゃあ離れたくないから友達? それも違う。別れが訪れることが分かっていてもやっぱり高良とは恋人がいい。たった一瞬でも彼の一番になりたい。
「まだ寝ないの?」
「ごめん。もうちょっと勉強したくて」
「こんな日まで英語の勉強しなくたっていいじゃん。それに会社辞めるんだし、意味ないんじゃない?」
「転職するとき少しでも英語できた方が得でしょ」
私は嘘をついている。本当は英語力をつけてもっと高良の役に立ちたかった。英語ができていれば高良の仕事はもう少し減った。誕生日に望んでいた休みだってあげられたかもしれない。
自分にできないことがあるだけで不安になる。私よりもっといい人がいるんじゃないかと。仕事でもプライベートでも高良の役に立つ穂乃果さんのような相手が高良にはお似合いだと思ってしまう。
勉強しているのは意地だ。せっかく経費で勉強させてもらった英会話。これからは自分で勉強するしかないが、だからといって勉強をやめたらなんだか恋に負けた気がする。
私だって高良に似合う人だったんだって自分で思えるようになりたい。より素敵な女性に生まれ変われた時、私はやっとこの恋を終わらせることができるような気がする。料理だって頑張ろう。スキンケアだって怠らない。高良に出会えてよかったと思える人生にしたい。
勉強が終わったときには港は寝室のベッドで眠っていた。私はその隣に敷かれた布団に入ったが、ベッドの上から港の手が下りてきて私の手を握ってきた。
「手くらいいいでしょ」
港は起きていたようだ。私は何も言い返せなかった。手くらいなのかもしれないが、私にとって高良との思い出が沢山詰まった大切な手。
「とりあえず今日は気晴らしにデートしよう」
「デート?」
港の口からデートしようなんて高良の影響でこうなったとしか思えない。私のオアシスを汚染したな。
私は港と外に出て素敵なランチをしてジェットコースターに乗って叫び、映画鑑賞で号泣とまぁ俗にいうデートっぽいことをした。
「疲れた……」
「確かに詰め込みすぎたね。紬先にお風呂入って。軽く夕食作るから」
「何から何まで本当にありがとう」
「どういたしまして」
港との久しぶりの家飲みは楽しかった。私にとって本当に港はかけがえのない友達だ。港が彼氏や旦那じゃこんなに楽しめないだろう。もし高良と最初からやり直せるのなら私は彼の友達を選ぶだろうか。
ただの同僚は嫌だ。じゃあ離れたくないから友達? それも違う。別れが訪れることが分かっていてもやっぱり高良とは恋人がいい。たった一瞬でも彼の一番になりたい。
「まだ寝ないの?」
「ごめん。もうちょっと勉強したくて」
「こんな日まで英語の勉強しなくたっていいじゃん。それに会社辞めるんだし、意味ないんじゃない?」
「転職するとき少しでも英語できた方が得でしょ」
私は嘘をついている。本当は英語力をつけてもっと高良の役に立ちたかった。英語ができていれば高良の仕事はもう少し減った。誕生日に望んでいた休みだってあげられたかもしれない。
自分にできないことがあるだけで不安になる。私よりもっといい人がいるんじゃないかと。仕事でもプライベートでも高良の役に立つ穂乃果さんのような相手が高良にはお似合いだと思ってしまう。
勉強しているのは意地だ。せっかく経費で勉強させてもらった英会話。これからは自分で勉強するしかないが、だからといって勉強をやめたらなんだか恋に負けた気がする。
私だって高良に似合う人だったんだって自分で思えるようになりたい。より素敵な女性に生まれ変われた時、私はやっとこの恋を終わらせることができるような気がする。料理だって頑張ろう。スキンケアだって怠らない。高良に出会えてよかったと思える人生にしたい。
勉強が終わったときには港は寝室のベッドで眠っていた。私はその隣に敷かれた布団に入ったが、ベッドの上から港の手が下りてきて私の手を握ってきた。
「手くらいいいでしょ」
港は起きていたようだ。私は何も言い返せなかった。手くらいなのかもしれないが、私にとって高良との思い出が沢山詰まった大切な手。