鎖から放たれた蝶々は美しく羽ばたく
エピソード1 私の事情とトップモデルとの関係
「よし、と」
化粧が終わり眼鏡をかけたら、鏡の中の私と目があった。
長い、分厚いカーテンのような前髪が私の顔を半ば、隠している。
これのせいで暗いだのなんだの言われることもあるが、これは私を守るために大事なものだから変えるつもりはない。
「でもやっぱり、この眼鏡は可愛すぎだよね」
つい先日、街で派手に転けた私は眼鏡を破壊した。
それで買い替えた眼鏡がこれなわけだけど、……色が。
上部のスモーキーピンクから下部のダークブラウンへグラデーションになっているバイカラーで、私が身につけているものとしては可愛すぎるのだ、これは。
なんでそんなものを使っているのかって、選んだのは転んだときに助けてくれた人で、あとは買い替えるのが面倒だからにすぎない。
……嘘です。
上司が、いいなって言ってくれたから。
「いってきます」
ひとり暮らしなのにそう呟き、マンションを出る。
電車はいつもの時間の、一番前の車両に乗った。
降りてから改札へ向かう階段までかなり歩かないといけないが、少しでも人を避けたい。
「おはよう、チョーコ」
化粧が終わり眼鏡をかけたら、鏡の中の私と目があった。
長い、分厚いカーテンのような前髪が私の顔を半ば、隠している。
これのせいで暗いだのなんだの言われることもあるが、これは私を守るために大事なものだから変えるつもりはない。
「でもやっぱり、この眼鏡は可愛すぎだよね」
つい先日、街で派手に転けた私は眼鏡を破壊した。
それで買い替えた眼鏡がこれなわけだけど、……色が。
上部のスモーキーピンクから下部のダークブラウンへグラデーションになっているバイカラーで、私が身につけているものとしては可愛すぎるのだ、これは。
なんでそんなものを使っているのかって、選んだのは転んだときに助けてくれた人で、あとは買い替えるのが面倒だからにすぎない。
……嘘です。
上司が、いいなって言ってくれたから。
「いってきます」
ひとり暮らしなのにそう呟き、マンションを出る。
電車はいつもの時間の、一番前の車両に乗った。
降りてから改札へ向かう階段までかなり歩かないといけないが、少しでも人を避けたい。
「おはよう、チョーコ」