鎖から放たれた蝶々は美しく羽ばたく
【彼と過ごす、〝キモチイイ〟】
そんな挑発的なキャッチコピーと共に、モデルの神月伶桜が悩ましげな視線でこちらを見ていて、途端にボッ!と顔が火を噴いた。
「ん?
……ああ」
私の様子が変わった理由に気づき、袴田課長が意地悪くにやりと笑う。
「あの広告、なにかと話題だよな」
黙ってこくこくと頷いた。
神月伶桜は日本で知らない人の方が珍しい、トップモデルだ。
芸能人に興味がないおじさんでも、旅客機会社のCMの人、といえばわかるくらい。
それまでも若い女性の間ではイケメンだと有名だったが、春に大々的に打ち出されたその旅客機会社のキャンペーンで、国民的モデルへと昇格された。
いまではよっぽど一日中、テレビもネットも見ずに家にこもっているのでもなければ、彼の顔を見ない方が難しい。
その彼の、官能的な内容の雑誌広告だ、話題にならない方がおかしい。
「チョーコもやっぱり、神月が好きか?」
課長の声はまるで、気になる子に好きな男がいるのか確認するかのようだ。
返事の代わりに黙ってぶるぶると首を横に振る。
「そうか」
安心したのか、課長が少し笑った。
そんな挑発的なキャッチコピーと共に、モデルの神月伶桜が悩ましげな視線でこちらを見ていて、途端にボッ!と顔が火を噴いた。
「ん?
……ああ」
私の様子が変わった理由に気づき、袴田課長が意地悪くにやりと笑う。
「あの広告、なにかと話題だよな」
黙ってこくこくと頷いた。
神月伶桜は日本で知らない人の方が珍しい、トップモデルだ。
芸能人に興味がないおじさんでも、旅客機会社のCMの人、といえばわかるくらい。
それまでも若い女性の間ではイケメンだと有名だったが、春に大々的に打ち出されたその旅客機会社のキャンペーンで、国民的モデルへと昇格された。
いまではよっぽど一日中、テレビもネットも見ずに家にこもっているのでもなければ、彼の顔を見ない方が難しい。
その彼の、官能的な内容の雑誌広告だ、話題にならない方がおかしい。
「チョーコもやっぱり、神月が好きか?」
課長の声はまるで、気になる子に好きな男がいるのか確認するかのようだ。
返事の代わりに黙ってぶるぶると首を横に振る。
「そうか」
安心したのか、課長が少し笑った。