鎖から放たれた蝶々は美しく羽ばたく
「はい、すぐに行きます!」

私も慌ててタブレットと資料やなんかを掴み、彼のあとを追った。

会議室にはいま開発中の、新商品に関わるメンバーが集まっている。

「今日の議題はプロモーションについてだが……」

末席に座り、プロジェクターで映し出される提案の数々を見ていた。
いま、私の関わっている商品はユニセックスな化粧品、だ。
コンセプトは〝パートナーと共有できる、コスメ〟。
文字通り、男性でも女性でも使えるものを目指している。

「パッケージデザインだが……チョーコ」

「はい」

課長の指名を受け、立ち上がる。

「ユニセックスなもの、ということで、モノトーンを中心に考えています。
形も四角や三角など、甘さを排除してはいかがかと」

私の声にあわせて、ラフ画が表示された。

「あの」

すぐに中堅どころの女性から手が上がる。

「リップも四角ですか」

「はい。
アンケートによりますと、転がらないものがいいとの声もありましたので」

端末を操作し、アンケート結果を表示させる。

「確かに、転がらないのはいいですね」

女性から同意が得られ、ほっとした。

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