鎖から放たれた蝶々は美しく羽ばたく
明け方からは、どんどん身体が熱くなっていく。
関節は死ぬほど痛いし、動くの自体が、無理になっていた。

「連絡……」

手探りで携帯を探し、朝っぱらから申し訳ないと思いつつ、袴田課長に電話をかける。

『どーした、チョーコ。
こんな時間に?』

ワンコールで相手は出た。
しかもこんな時間だからか、若干、心配そうだ。

「ちょっと熱が出て……。
休ませてください……」

息も絶え絶えにようやくそれだけを絞り出す。

『チョーコでも風邪引くんだな!
お前は引かない部類の人間だと思ったぞ!』

いつもならそんなことあるか!
とかツッコむところだが、今日はさすがにそんな元気もない。

『わかった、お大事に。
あったかくして寝てろよ?
なんかあったら遠慮せずすぐ、電話してこい』

「ありがとうございます……」

電話を切り、置くだけでも体力を使う。
そのまま、気を失うように眠りに落ちた。

――ピコピコ、ピコピコ……。

携帯の着信音で目を開ける。
動かしたくない手を伸ばし、携帯を掴んだ。

「……袴田課長、から?」

ぼーっと携帯を、耳に当てる。

『具合はどうだ?』

「あー、はい……」

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