鎖から放たれた蝶々は美しく羽ばたく
エピソード3 ずっと言ってほしかった言葉
「苺チョコちゃん!」
「えっ、うわっ!?」
意味もなく神月さんの訪問を受けて一週間後。
ランチに出ようと部屋を出てところでいきなり神月さんから抱きつかれた。
「あ、あの!?」
「んー?」
彼は私を抱き締めたまま離してくれないが、さっきから後頭部に突き刺さる袴田課長の視線が痛い。
「もうお昼は食べたのかい?
まだなら僕と一緒に食べにいこう」
私の返事など待たず、さりげなく背中に手を当てて神月さんは促してくる、が。
「あ、あの!
なんで神月さんがここに!?」
今日だってもちろん、神月さんが会社に来るような用事などない。
それになぜか、彼はスーツ姿だった。
「んー?
なんでだろうねぇ。
それより僕はもう、お腹がペコペコで死にそうなんだ。
早くお昼を食べにいこう」
「えっ、あっ」
お腹を押さえて情けない顔をしてみせたあと、強引に私の腕を掴んで人攫いよろしくずるずると引っぱっていく。
「た、助けて……」
「助けてって僕がまるで、悪いことをしているようじゃないか」
はっはっはーとかわざとらしく笑いながら、ちょうどドアの開いたエレベーターに私を連れて乗り込む。
「えっ、うわっ!?」
意味もなく神月さんの訪問を受けて一週間後。
ランチに出ようと部屋を出てところでいきなり神月さんから抱きつかれた。
「あ、あの!?」
「んー?」
彼は私を抱き締めたまま離してくれないが、さっきから後頭部に突き刺さる袴田課長の視線が痛い。
「もうお昼は食べたのかい?
まだなら僕と一緒に食べにいこう」
私の返事など待たず、さりげなく背中に手を当てて神月さんは促してくる、が。
「あ、あの!
なんで神月さんがここに!?」
今日だってもちろん、神月さんが会社に来るような用事などない。
それになぜか、彼はスーツ姿だった。
「んー?
なんでだろうねぇ。
それより僕はもう、お腹がペコペコで死にそうなんだ。
早くお昼を食べにいこう」
「えっ、あっ」
お腹を押さえて情けない顔をしてみせたあと、強引に私の腕を掴んで人攫いよろしくずるずると引っぱっていく。
「た、助けて……」
「助けてって僕がまるで、悪いことをしているようじゃないか」
はっはっはーとかわざとらしく笑いながら、ちょうどドアの開いたエレベーターに私を連れて乗り込む。