鎖から放たれた蝶々は美しく羽ばたく
カップをソーサーに戻した神月さんが、私を抱き締めてくる。

「映画を観る……とか普通だしね。
家でしかできないことをしようじゃないか」

「……は?」

それはいい、いやよくないが、いつのまにか神月さんにソファーへ押し倒され、彼を見上げていた。

「あ、あの……。
ふぁっ」

はむっ、と耳を甘噛みされて声が漏れる。

「苺チョコちゃんは耳が弱いのは、もうわかっているからねー」

「えっ、……あっ」

耳の中へ舌を侵入させられ、身体がぶるりと震えた。
まだ朝といっても差し支えのない時間、大きな窓の外では立派なイングリッシュガーデンに燦々と日が降り注いでいる。
そんな場所で、私は。

「……キモチイイ?」

「ああっ」

甘く、艶を帯びた声が私の耳を犯す。
堪らなくなって彼の腕をきつく掴み、いやいやと首を振った。

「あー……。
ここじゃ、恥ずかしい?」

少し困ったように訊かれようと、そんな問題じゃないのだ。

「それとも、僕とするのはイヤ?」

それには、黙って頷いた。

「んー」

先に起き上がった彼が、私の腕を引っぱって抱き寄せる。

「身体はイヤ、って言ってないようだけど?」

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