忘れられない笑顔
第1章

動き出す日



_____桜舞う4月

まだ聞きなれない声変わりして掠れた声が私の名前を呼ぶ


「愛生ー!同じ学校なんだから先行くなよ」


こいつは幼馴染の雫井咲翔。

家が隣同士のこともあり、生まれた時からずっと一緒に育ってきた。

なにをするにもどこに行くにもいつも一緒。

中学に入学した頃はまだ私より身長が低くて、声も高かったのに卒業する頃には私より10センチ以上高くなって、声変わりした声は男らしくて聞き心地のいい少し掠れた声になっていた。

だから卒業式は学年問わずモテモテで制服のボタンは全部取られてたっけ…笑

だから顔もスタイルも普通の私は一緒にいることにちょっと抵抗が出来てきたのもこの頃だった。

でも、私がそこそこ良い高校に志望校を決めたときに俺も行くって言って、今まで赤点ギリギリの点数しか取ってこなかった咲翔が必死に勉強してくれて、同じ高校に受かったときはすごく嬉しかった。


「ふふごめんもう高校生だし一緒に行くのはなんかなーって思って先出ちゃった」


なんてのは表の言葉でほんとはかっこいいから一緒にいるとみんなに色々聞かれて大変なだけ


「高校生になっても俺らの仲は変わらないだろ」なんて軽々しく言うからちょっと心苦しかった
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