嘘つきは恋のはじまり✗ 恋の終わり???
会社の帰り急な雨でコンビニに入った
金曜日
明日休みでとりあえずよかった
〔カノジョとご飯食べてくる〕
葵からメッセージがきてた
楽しそうでいいね
傘と私の夕飯でも買って帰ろ
たまには飲もうかな
みんな傘買ってる
だよね
この雨だもん
止みそうにないしね
傘に手を伸ばしたら最後の1本だった
オレが使ったら
誰か次に来る人が濡れちゃう
誰かそんなこと言ってたな…
傘を買うのを躊躇した
「よかったら、どーぞ…」
私の後ろにいた人に傘を譲った
「…芭?」
え…
声の人を見たら…深瀬だった
「…なんで?」
ここにいるの?
「会社の研修で先月からこっちにいるんだ」
「え…」
ビックリして声が出ない
「あ、オレたち邪魔になってる」
深瀬の手が私の肩を移動させた
「あ、スミマセン…」
後ろから来た人が最後の傘を手に取った
「最後の1本なくなっちゃったね
せっかく譲ってくれたのに、ごめん
スゲー雨…止むかな?」
「りょ…深瀬が言ってたから…」
「ん?」
「深瀬があの時
最後の1本私に譲ってくれたから…」
「あー…
オレもさっき芭にどーぞ…って譲られた時は
どーぞ…って言うつもりだったよ
…
でもよく見たら芭だった
芭だったら一緒に入ってもいいか…って
ちょっと思ったけど
一瞬で取られちゃったね
…
どーする?
ふたりで濡れてく?」
深瀬が雑誌コーナーから空を覗いた
深瀬の頬に髪から垂れた雫が伝った
黙ってハンカチを差し出した
「ありがと」
「深瀬はここから近いの?ホテル?」
「オレは歩いて10分くらいのアパート
芭は?もぉ帰るとこだった?」
「私は駅まで…」
「じゃあ逆方向か…
…
雨宿りがてら
すぐそこの居酒屋とかで飲まない?
そしたらそんなに濡れないだろ
あー、予定あったらいいけど…」
「うん…ないけど…」
ないけど…
なんだろう?
断わる理由もなかった