嘘つきは恋のはじまり✗ 恋の終わり???
ブー…ブー…ブー…
深瀬の携帯が鳴った
「あ…」
なんとなく見えた
女の人の名前
「ん?カノジョ?」
「うん」
深瀬が携帯を伏せた
「出ないの?」
「うん
今、草薙といるじゃん」
「だって昨日も一昨日も話してないんでしょ
カノジョもきっと話したいよ、深瀬と
私のことなら、気にしないで…」
「カノジョとは明日会えるし…
草薙とは明日話せないじゃん」
私を優先してくれてる?
って一瞬思ったけど
そっか…
私とは今日限りだ
当たり前のことなのに
気付かされた
前もそーゆーことあったよね?
思い出した
私とCD探しに行く約束してたけど
深瀬は他の事を優先した
後日、他の女の子と塾にいたって
友達に聞いた
あの時、深瀬は
カノジョの私より他の子を優先した
正直、いい気はしなかった
別れるきっかけにもなった
カノジョは明日も明後日も一緒だから…って
あの時も思ったのかな?
ずっと一緒にいれる関係なんてない
あの時、思い知った
「深瀬、カノジョと電話してよ
私、コレ飲んだら帰るから…」
2杯目のレモンサワーを
急いで喉に通した
「え、なんで?
まだレバニラ残ってるし…
きっと、まだ雨降ってるよ」
「深瀬食べてよ
独り暮らしなんだから栄養とって!
雨もさっきより小降りになってるかも…」
「ずっと止まなかったら…
ずっと大降りだったら…
草薙はココにいてくれるの?」
「ずっと…?」
「芭…」
「え、なに…?」
また芭って呼ばれた
「芭、もぉ会えない?」
深瀬
そんなこと言わないでよ
そんな顔で見ないでよ
芭って呼ばないでよ
「深瀬、酔ってるの?
その呼び方、やめて…
思い出すから…」
「なに、思い出す?」
深瀬が告白してくれた時
嬉しかった
深瀬のカノジョになって
どんどん深瀬のこと好きになって
初めてキスした日は
ドキドキして眠れなかった
涼…
涼が好きで
大好きで
別れる時だって
ホントはまだ好きだった
今も…
今もそんな優しい目で真っ直ぐ見られたら
帰れなくなるし
私だって、また会いたい
でも、ダメだよ
「深瀬が…
深瀬が、浮気してたこと思い出す」
「え?浮気?」
「嫌だった
深瀬が私じゃない女の子といるの
…
深瀬
私の約束断わって
塾で女の子といたでしょ
…
カノジョの約束より大事な用って、なに?
…
嫌だった
いつも深瀬の1番じゃなきゃ
嫌だった」
あ…
酔ってる、私
いい思い出いっぱいあるのに
なんで浮気のこと今更…
「え?オレが浮気って…」
「ごめん
私、酔ったみたい
…
あ、だからね
きっと深瀬のカノジョも
そんな気持ちになると思うよ
だから、カノジョと電話してよ
…
私のことなんて…もぉいいから」
優先しなくていいよ
私のことなんて
深瀬が
ずっと一緒にいたい人を選んでよ
「ごめん
草薙がそんな気持ちだったの
オレ、ぜんぜん知らなかった
…
けど
オレ、浮気してないよ
信じて!
…
確かあの日、
塾の子が次の日学校のテストだから
どーしても教えてほしいところがあるって…」
私の勘違いだったの?
でも
もぉそんなこと言っても
深瀬とは戻れない
「深瀬のこと
信じてなくて…
信じられなくて…ごめんね
…
あの頃、なんかもぉ辛くて…」
「いや、オレもごめん
…
芭とはずっといれると思ってたから
そっちを優先してしまった
…
ホントにごめん
…
オレは、別れる日も好きだったよ
芭のこと…
…
ずっと、一緒にいたかった」
目の前の深瀬は
私に告白してくれた日の顔をしてた
「なんで…」
なんで、そんな顔するの?
怒らないの?
なんで、私は許せなかったんだろう
なんで、好きだったのに別れたんだろう
深瀬だって私のこと好きだったら
あの時、別れたくないって言ってほしかった
深瀬、もしかしてノリで言ってる?
そんな優しさ、いらないよ
だからみんな勘違いするんだよ
また私も勘違いしてしまう
「そーゆーのよくないと思う
…
私が深瀬のカノジョだったら
すごく嫌だな
…
元カノと会って
ふたりでご飯食べて
そーゆーこと言って…
…
私がカノジョだったら…
深瀬のカノジョだったら…」
私
もぉ、深瀬のカノジョじゃないじゃん
なんで…
なんで、深瀬のカノジョじゃないんだろう
なんで、涼のカノジョでいれなかったんだろう
なんで…?
深瀬のこと信じなかった私が
全部、悪かったんだ