嘘つきは恋のはじまり✗ 恋の終わり???

〔はーちゃんまだ帰ってこないの?〕
〔どこ?〕



耳元でスマホが鳴って
見たら葵からメッセージがきてた



ここ、どこ?



私、どこにいるんだろう?

自分の部屋じゃない



どこ?



「あ、起きた?

ごめん、草薙酔って歩けなそうだったし
雨まだ結構降ってたから
とりあえずタクシーでオレのアパート来たんだ」



深瀬が、いる



オレのアパート???

深瀬のアパート?



偶然コンビニで会って
居酒屋で一緒にご飯食べた

私、2杯お酒飲んだっけ?



「草薙、寒くない?大丈夫?
 水飲む?
なんか温かいの入れようか?」



酔ってたのかもしれないけど
深瀬に言った事
全部覚えてる



ソファーの上で
ブランケットを掛けられてた



ここは私がいたらダメな所だ

何もなくても
深瀬のカノジョに申し訳ない



「ごめん
私、帰るね」



携帯と近くにあった私のカバンを手にした



「え、もぉ終電ないよ
タクシーで帰れる距離?」



タクシーで帰ったら
いくらかかるんだろう?

検討もつかない



「歩いて帰る」



「あ、弟?
ひとりじゃ心配?」



「んーん…弟は大丈夫
もぉ子供じゃないし…

私が、嫌だから…
だから、帰るね」



「そっか…
なんか、オレ、嫌われた?

草薙に会えて
正直嬉しかったんだけどな、オレ

あ…前から嫌われてたのか…
フラれたんだった」




別に深瀬が嫌いなわけじゃない

だから別れたわけじゃない



今更わかっても
今更言っても仕方ない事


深瀬は浮気してなかったとしても
もぉ遅い


私の誤解だったとしても
あの時、別れたんだもん仕方ない



今の深瀬にはカノジョがいるんだもん



私が深瀬のカノジョだったら
独り暮らしのアパートに元カノがいるって
絶対嫌だと思う

何もなくても誤解でも
深瀬を責めたくなる



深瀬のカノジョは
違うのかな?

そんなことで焼きもちやくような
子供みたいな人じゃないのか…



「別に嫌いじゃないよ
深瀬のこと、嫌ってないよ
私が、なんか、嫌なだけ…」



「嫌われてないならよかった

さっきカノジョに電話したよ
けど出なかった
もぉ寝たのかな…

だから、メッセージ送っておいた
元カノにコンビニで偶然会って
一緒にご飯食べて
今アパートにいるって」



は?



「そんなこと、言ったらダメだよ!」



「だって草薙は隠された方が嫌なんじゃない?

あの時も
隠してたつもりもないけど
結果、浮気とか…
草薙に嫌な思いさせたんだろ

だから、言っといた方がいいかな…って」



「それでもカノジョは嫌だと思う
いい気はしないよ」



言えばいいって訳でもないよ


あの時
深瀬が私に理由を言ってたとしても
心の底から納得できなかったと思う



「コレ、掛けてくれてありがと
私が帰ったら洗濯してね」



ソファーの上にブランケットをたたんで置いた



「別に匂い嗅いだりしないけど…」



「そーじゃなくて…
カノジョだったら嫌だから!」



だから
私はもぉ深瀬のカノジョじゃないんだって



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