嘘つきは恋のはじまり✗ 恋の終わり???

深瀬とは
もぉ会わないはずだった


話す事なんて
ないはずだった



一緒に救護室を出て
ホームに向かった



「深瀬、ごめんね
深瀬も仕事遅れちゃったね」



深瀬、ごめんね
また会っちゃった


それから
大嫌いとか言って、ごめんね



「だから、大丈夫だって…
あ、草薙、ちょっと待って…」



売店の前で足を止めて
深瀬が何か買った



「コレ、とりあえず飲んで行きなよ
栄養足りないんじゃない?
いつも顔色悪そうだったよ」



鉄分配合の飲み物だった



いつも?

いつも私のこと見てた?

やっぱり私のこと気付いてた?



「ありがと…」



「それ、1日分の鉄分だから
とりあえず今日のぶん」



「じゃあ明日もまた飲めばいいか…」



「オレ、あそこのレバニラたまに食べてるよ」



「あー、ホントに?」



「うん
レバニラあんま得意じゃなかったけど
あそこのなら食べれるし
まだこっちの店よくわかんなくて
いつも同じとこ行っちゃうんだよね」



「そーなんだ
新しい店、開拓してみればいいのに…
まだこっちにいるんでしょ?」



「うん、そーだね
あと3ヶ月ぐらいは…

あ、ごめん草薙
足止めして…

なんか、また話せると思ってなかったから
嬉しかった」



うん
私もだよ



「んーん…
こちらこそ…

ホントにありがとね」



もぉ会わないとか言って…


会えばこんなふうに
なんてことなく話せる


会えばやっぱり
気持ちが高揚して
ドキドキしてしまう


それは深瀬が優しいからだ



「あと、この前ごめんね、深瀬」



「ん?なにが?」



「大嫌い…とか言って…」



「あー…オレもごめん

大嫌いって言われた事より
草薙を泣かせた事の方がショックだった

大嫌いって思われるくらい
草薙に嫌な思いさせたんだな…って
スゲー反省した

ホント、ごめん
オレが言ったこと、忘れて」



また私を責めないんだ

なんでそんなに優しいの?

また泣きそうになるよ



オレが言ったこと忘れて

それも泣きそうだけど



でも泣いたら
また深瀬が心配しちゃう



「忘れられるかな…

深瀬のこと
嫌いじゃないよ」



「え、マジ?」



「うん、嘘じゃないよ
そんなに嫌いじゃない」



「え…?
なに、それ…」



深瀬が苦笑いした



ごめんね
忘れてとか言われたら
好きとは言えない



「草薙
また一緒にレバニラ食べに行かない?」



「え…」



また誘ってくれるの?


こんなふうに会えば
また会いたくなってしまう



「わかってるよ
オレのこーゆーとこが嫌いなんだろ

オレ、あの店に結構行くから
来たかったら来て

それならいい?
嫌いなら来なくていいし…」



「ん…」



「あ、下心とかなく
ただ、草薙が心配だから…」



心底、いいよ!って返事できなかった

なんか罪悪感ある



「ありがと
心配してくれて」



「しつこいと、また嫌われそうだし
これ以上は誘わない

じゃあ、草薙、身体に気をつけて…」



「うん…お互いね」



「ハハ…なんか年寄りくさいね」



「私たち、もぉ高校生じゃないからね…」



私たち
もぉ高校生じゃない



いろんな意味で
大人にならなきゃいけない



「そーだね…」



「深瀬、あと3ヶ月こっちで頑張ってね」



「うん、ありがと」



「あと3ヶ月
遠距離頑張ってね」



ホントに私
そぉ思ってる?



思ってなくても
大人はそぉ言わなきゃいけない気がした



「草薙も、頑張ってね」



なにを?

頑張ることなんて、ないよ



「えっと…じゃあ、私こっち…」



深瀬
もぉ会わないね

会わないよね?



バイバイ



「うん…オレ、こっち…」



「「じゃあ…」」



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