嘘つきは恋のはじまり✗ 恋の終わり???

振り返ったら
深瀬の背中が見えて寂しくなった



別れた日を思い出した



「深瀬!」



呼び止めてしまった



深瀬が足を止めて振り向いた



「ボーナス出たから
レバニラ奢ってあげてもいいよ!
今日のお礼」



って、聞こえないか



「え…?なに?聞こえない」



深瀬が人混みの中
わざわざ戻って来てくれた



深瀬



暑くて

熱くて



胸が
ドキドキする



胸元に変な汗かく



「今日のお礼
ボーナス出たからレバニラ奢る
って言ったの」



「別にお礼なんか…」



え、断わられた



「それなら、いいや…」



せっかく誘ったのに!



「奢られなくても
オレ、またあの店行くって言ったじゃん」



深瀬は
私とふたりで会うのをカノジョが嫌がると思って
きっとそぉ言った

カノジョじゃなくて
私のことを気にしてくれてるのかもしれない



深瀬は
どこまで優しんだろう



「とりあえず今日の鉄分はもぉ取れたから
明日、行こうかな…」



どれだけ深瀬に会いたいんだろう
私は



「ごめん…
明日の夜、オレ向こう帰るんだ」



また断わられた



明日、金曜だった



「カノジョに会いに?」



「うん…」



わかってるのに
なんで聞いたのかな、私



「わかった
じゃあ、明日はひとりで行く
ひとりでも鉄分取れるから大丈夫!
楽しんできてね、深瀬」



深瀬にはカノジョがいるんだよって
深瀬はカノジョ優先なんだよって

私にわからせるために
わざと聞いた



熱くなった胸が痛かった



< 70 / 205 >

この作品をシェア

pagetop