嘘つきは恋のはじまり✗ 恋の終わり???
ジャーーーーー…
吐きすぎて
もぉ吐くものもなかった
「深瀬、ありがと
ごめんね」
「具合悪いの?」
「うん、大丈夫」
「ちょっと休んで行きなよ
草薙、顔色悪いよ」
「うん、ありがと
じゃあ、ちょっと休ませてもらうね
深瀬は気にしないでゴロゴロしてて…」
大丈夫って言ったけど
本気で具合悪い
でも
深瀬の顔見たら
なんか少し安心した
深瀬
きっと別れたカノジョのこと
考えてたんだろうな…
まだ忘れられないよね
「こんな時間に帰ってくるって
誘われたりしなかったの?」
深瀬が床に寝そべって
聞いてきた
「誘われたよ」
ここでも見栄を張る
ホントのことだし!
「へー…草薙、モテるんじゃん
行けばよかったのに…」
「うん、だよね…」
「どーだった?
楽しかった?」
「んー…」
「どんなカンジ?」
「深瀬もそーゆーの行こうと思うの?
興味なさそうだけど…」
「うん
今後の参考のために教えてよ」
「そんなの参加しなくても
深瀬ならすぐカノジョできそうじゃん」
「そーかな…
草薙、今日スカートなんだね」
深瀬がゴロゴロしながら
私を見て言った
なんとなく脚を隠した
「いつもスカートだよ」
会社のスーツだっていつもスカートじゃん
「バーベキューなのに
オシャレしてんな…って…」
「するよ!だって婚活だもん!
みんな可愛くしてたよ」
「本気だね」
「本気だよ!」
深瀬、バカにしてる?
「あ、草薙もよかったらゴロゴロしてよ
オレだけ、ごめん
いつもゴロゴロしてんでしょ」
いつもゴロゴロって
失礼な…
でもいつもゴロゴロしてるけど
床に寝そべったら
テーブル越しに深瀬と目が合った
「床、痛くない?」
「うん、いつもこんなカンジだから大丈夫」
「なんか、掛けるのいる?」
「んーん…いらないよ」
いつもの深瀬だけど
今日は優しさが身にしみる
だいたい優しいって深瀬は言うけど
私はたぶん
深瀬の優しさが心地いい
「草薙…」
「ん…?」
ゴロゴロしながら目が合うって
なんか照れる
寝返りをして誤魔化した
「なんで、ここ来たの?
トイレ借りたかっただけ?」
「んー…なんでかな…
…
深瀬は、ゴロゴロしながら
元カノのこと考えてた?
やっぱりまだ寂しいでしょ」
「やー…考えてないよ」
「あー、強がってる
…
今日ね
話した人がカノジョと別れたばっかりで
寂しいって言ってたから…」
「へー…そーなんだ…
…
オレは、草薙のこと考えてた」
え…私?
草薙って言ったよね?
「草薙、今頃どーしてるかな…って考えてた
今日中にカレシできるかな…って
…
あ、草薙も元カノだった
フ…ハハ…元カノのこと考えてたわ」
なんだ…笑えるんだ
もっと落ち込んでると思った
「深瀬、バカにしてるでしょ!
私にカレシなんかできるわけないって」
「バカにしてないよ
草薙、真剣だったから
ホントにカレシできるだろうな…って
…
次はいつ行くの?」
「次は…」
もぉ行かないと思う
「オレもそれ参加したらさ
草薙に出会えるの?
一緒に映画行ってくれるの?」
「え?」
「今後の参考のために聞いとく」
「え…意味、わかんない」
「本気だよ…オレも…」
「深瀬、それって…」
深瀬を見たら
深瀬は目を閉じた
アレ?
深瀬、寝た?
なに?
本気って
「深瀬…?」
「…」
寝たな