指輪を外したら、さようなら。
三十分後。
俺は眠っている千尋を組み敷いていた。
せっせと着ているものを脱がせていく。
「千尋、あの男とも寝たのか?」
「……ん……?」
意識のない女を抱く趣味はない。
だが、千尋に関しては何でも有りだ。
「抱くぞ」
返事はもらえないとわかっていながら、聞いた。
「めちゃくちゃ、抱くからな」
既に彼女の胸に手を添えながら、聞いた。
「俺を嫉妬させた、罰だ」
「……」
記憶がぶっ飛んだのは、俺も同じだった。
ムカつくことに、あの男の言う通りだった。
時折薄目を開けるだけで、完全に酔い潰れている千尋の身体は敏感で、触れたところから熱を持ち、触れる前から潤んでいた。
触れられるのを心待ちに膨らんだ芽を擦りながら、胸の先端を舌で転がすと、千尋が身体を仰け反らせた。
「んんっ――!」
いつもならしつこいと言われるほど、しつこく身体を濡らしていく。
「千尋……」
いつも余裕ぶって意地を張ったり、優位に立とうとする千尋が、何の抵抗もなく俺が与える快感に身を任せている。
思えば、ここまで酔った千尋を抱くのは初めてだった。
そもそも、千尋は酒に強い。
いつも解散まで、酔った同僚や後輩の面倒を見ている。
その千尋が、潰れるまで飲むなんて、余程楽しい酒だったのか、潰れたい心境だったのか。
楽しそう……ではあったな。
一緒に居た奴らを見れば、実に楽しい酒だったのはわかる。
『千尋、酔うとすげーイイですよね』
あの男も、こんな風に酔った千尋を抱いたのか。
想像したくないのに、頭から離れない。
あの男と抱き合う千尋。
俺は彼女の両膝裏を持ち上げ、大きく足を広げると、その付け根に吸い付いた。
「あっ――! んんんっ!!」
千尋の呼吸が乱れる。
いつも近所を気にして声を殺す彼女が、そんなことも忘れるほど感じている。
「あっ……、あ……」
どうせ覚えていない。
嫉妬丸出しで、やりたい放題したところで、どうせ覚えていない。
「……くぅ」
腰を浮かせ、もっともっととねだる千尋の、一番感じるところを舐め上げると、両足が硬直し、腰が大きく跳ね、それから小さく痙攣した。
「あっ、やっ――! ダメダメーーッ!!」
身悶える千尋が、両手で俺の髪を掴むが、本気で嫌がっている風でもなく、むしろ腰を押し付けるように浮かせて、俺が逃げないように手で押さえつけているようでもある。
もっと、もっと、俺を求めればいい。
俺じゃなきゃ感じなくなればいい。
「いや――んっ! あーーっっっ!!」
痛いほど強く髪を掴まれたかと思ったら、手放された。
がくんっと彼女の腰がベッドに沈む。ビクンッ、ビクンッと腰が跳ね、持ち上げていた足が重くなる。
「千尋……?」