CROSS LOVELESS〜冷たい結婚とあたたかいあなた

「いいよ、夫として当然だ」

優しい声は……いつもと同じ玲さんだ。

ただ、その様子に…なにか違和感を覚える。
それに、辺りがやたら煙くさくて、軽く咳き込んでしまった。

「ケホッ…あ、あの。なにか燃えてませんか?」
「ああ、薫は初めてだったっけ?」

玲さんはふうっ、と大きく息を吐いた……ように見えたけど。実際は違った。
葉巻き煙草を口にくわえ、それを指に挟んでから煙を吐き出したのだ。

けれども、煙草にしては匂いが変だ。

「驚いた?おれが煙草を吸うって知らなかったからねえ」

ふうっ、ともう一度大きな紫煙を吐いた玲さんは……いつもと同じ穏やかで優しい表情。だけど……もうひとつの影がすぐ隣にあって、それがバスローブ姿の妹……美香であること。開いた衿の隙間に玲さんは手を入れ、美香の豊かな胸を弄っていた。

「キャッ、玲ったら…くすぐったいじゃない」
「ふふふ、おまえはここが弱いよな」
「もう、玲のエッチ!」

目の前で繰り広げられる光景が、信じられない。

まさに始めようとしている2人を、私は思わず問い詰めた。

「なにを……なさっているんですか?美香!あなた…姉の夫と…どういうつもりで……玲さんも……!」
「お姉様…」

美香は一度玲さんにキスすると、濃いそれを始めた。そして、喘ぎながらこう返してきた。

「……美香、玲さんと遊ぶの好きなだけだよ。お姉様から盗ろうとか思ってないから安心してね?」

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