CROSS LOVELESS〜冷たい結婚とあたたかいあなた
「皆さんに、発表しま〜す!なんと、わたし妊娠しました!!」
「おおっ!」
「なんと素晴らしい!おめでたい話だ」
美香の発表に拍手が沸き起こり、祝福の言葉が次々と贈られる。
「えへへ、ありがとう〜!実は、もう男の子ってわかってるんだ」
「沢村家の跡取りではないか。良くやったな、美香。おまえは私の誇りだよ」
お父様は……
優しい顔をして、美香をそっと抱きしめる。
昔から…そうだ。
長女の私にはとてつもなく厳しいのに、次女の美香にはとことん甘い。
そして、お父様はジロッと私を睨みつける。ビクッと反射的に身体が強張った。
「……妹に先を越され、情けないと思わんのか!何のために沢村家に嫁いだ?子ども一人孕めんとは……とんだ役立たずだ!!」
お父様に叱責され、さぁっと頭から血の気が引く。
身体が冷えてガクガクと震えだし、身を縮こませて頭を下げた。
「も、申し訳……ありません」
「まぁまあ、お義父様。こればかりは天からの授かりものですから…ぼくが不甲斐ないせいです。お気を静めてください」
隣の玲さんがお父様をたしなめてくださるけれど…どの面下げて、とわずかに反発心が頭をもたげる。
(あなたが……私を抱かないから……だから私は蓮さんに抱かれるしかなかったのに……)
ストレスからか、胃がギュッと締め付けられたようになり、急に嘔吐感に襲われた。
両手で口を押さえて、なんとかやり過ごそうと耐えたけれど…どんどん酷くなる。
(駄目……我慢しなきゃ……)
「おい、大丈夫か?」
誰も、心配なんてしてくれなかったのに。
私を抱き寄せて背中を撫でてくれたのは、蓮さんだった。
不思議……
気分の悪さがあっという間に収まり、落ち着けた。
でも、ここは一族の集まりの場。みんなの前でこんなことをしていたら、疑われてしまう。
「もう、大丈夫です。ありがとう……は、離してください」
「嫌だね」
蓮さんはそう言い、さらにギュッと抱きしめてくる。
パニックになった私を抱きしめた彼は、驚く発言をした。