花言葉を君へ
マーガレット

花言葉

 私は35歳になった。なんとなく、
自分の中で人生の節目なような気がしていた。

何か悪い事は捨てて。新しく始めようと。
腰まで伸びた長い髪をショートにした
何か髪についた、悪い物を切り落としたかった。

三年前のクラス会で、チヤホヤされた
私は、ただ嬉しかった。
だけど、
皆んなママになっていて。高校生の時より、噂が好きだった。
気がつくと、クラス会の話しに
尾鰭がつき、私は、遊び人と噂になっていた。
クラス会の時、女の子達がチヤホヤした。男の子はバツイチ独身で、
スーツが似合う子だった。
私は元々仲が良かった事もあり
話しは盛り上がり、帰りは同じタクシーで帰った。
その事で色々と言われていたようだ。
ご丁寧に、その事を報告してくる

「この前女子だけのクラス会したの
キキは、子供が小さいから無理だろうって、誘わなかったんだけど。
皆んなキキの悪口言ってたよ。
クラス会の日お持ち帰りだったでしょ?
あの彼にキキがストーカーしてるって
聞いたよ。彼困ってるって
キキヤバくない」
そう、電話が来た。
私は何かが、サーっと引いて行く感じがした。

そして、私の悪口を言っているとゆう
女子達、全ての連絡先を消した。
むなしかったけど、もう、それでよかった、

私はふと思った。
バカラのグラス
あの日の事謝ってない。
もう時効だろう。
素直に謝ろう。私は
長いメッセージを送った

「35歳になったので、人生の節目と考えて謝りたい。
長いので、適当に気が向いたら読んで下さい]
そう、前置きをした
そして、本題をつらつらと打った

[私はずっと素直になれなかった
高校の時から、本当は引っ張ってでも
俺と付き合えって、言われたかった。
だけど、たあは私を好きじゃ無いのかもと、思う様になって苛立って
意地悪をたくさんした。
最後に会った日ワザと男の話しばかりした。バカラのグラスを割った。
そして、こっそり帰った。
本当は、追いかけて欲しくて、駅で
待っていた。何時間か待ったけど。
たあは、来なくて、連絡もなくて。
やっぱり嫌われたんだと思って帰った

意地悪たくさんしてごめんね。
謝れなかった。今更だけど、
きっとたくさん振り回したよね?
ごめんなさい。

それとね
忘れてるだろうけど。
たあに
私が知らない男の子供を妊娠してたら
どうするって聞いた事があったの。

たあは。キキの子なら俺が育てるって言ってくれたんだ。嬉しかった。
あの時本当に妊娠してたんだ。
35歳区切り、本音を書きました
元気でね]

私は勝手にスッキリしていた。
夜に、たあから返信が
[夜11時、電話大丈夫?]と

私は
[大丈夫]と返した、

なんだかドキドキしながら
11時を待った。
電話がなった。
「もしもし、キキ」
「はい」

「久しぶり」
「久しぶり」
「キキの声聞くの何年振りだろう?
メッセージ見て、悩んだけど、
どうしても話したくて、伝えておかないとって」
「うん、なあに?」

「キキ、俺キキの事嫌いになってないよ。俺はあの日、朝起きて、もう、
本当にキキと終わったんだと思って泣いた。ずっと泣いてた。
あの日だけじゃない。
キキには何度も泣かされたよ。
キキの前では我慢したんだ。
あの日、駅で待ってたの?
俺なんでいかなかったんだろ?
俺たぶん、自分でチャンスを逃したんだ。そう思うと、くやしくて
人生が今と変わってたかもしれないのに」

「大げさだよ。嫌われてなくて
よかった」

「キキ、聞いて、
俺はいつも頭の隅にキキがいる
キキと、一緒にいた時ね。
もう、付き合えなくてもよかったんだ、キキに会えて、話して。
キキが笑っていれば、
相手が俺じゃなくても、キキが幸せでいてくれたら、それでよかった。
自分の事なんて、どうでもよくて
キキが笑ってる、それだけでよかったんだ。
俺は本気で、キキのためなら、死ねるって思ってた。
俺、誰と付き合っても長続きしなくて。
8か月付き合って結婚したんだ。
子供も産まれて
もちろん子供の為なら死ねる
でも、奥さんの為に死ねるかって考えたら。
無理だった、俺が死ねると思えるのは
今でもキキだけなんだ」

私は、何も返事ができなかった。

「キキ、気持ち悪かったらごめん
だけど、ずっと思ってた願いかな?
願望かな?あるんだ。

キキが、おばあちゃんになって
80歳でもかまわない。
人生最後の時間はキキと過ごしたい
俺必ずキキより長生きして
キキを一人にしないから。
キキがこの世を去る時。
キキの目を見ているのは俺でいたい
最後にキキの側にいるのは
俺って、そう今でも思ってる」

私は、ただ、泣いた。
泣いているのは、たあも気がついたはず、何も言えなくてただ泣いた。

「俺、言葉が足りなかったね。
ちゃんと、愛してるって伝えればよかった。
何度も、思う度に、
今更後悔しても仕方ないけど。
時間を戻したいよ」

私は泣いたままで、
たあは話しを続けた

「また、電話していい?
夜11時頃、今は伝えてなかった
言葉をまだ言い切れてないから」

私は
「わかった」と言った

その日から毎日11時になると
たあから連絡が来た、
バスで会った時からの事をさかのぼり
その時の本音をお互い話した。
お互い本音を言わなかっただけ。

「たあって、女の子に花束送るの好きでしょ?」

「え?キキにしか送った事ないよ」

「嘘?だって花言葉もよく知ってたじゃん?」

「そうするしか、なかったんだ。
言えなかったから。
花束を送ったのは、人生でキキだけ
普通女の子は、財布とか欲しがるだろ?
だけど、キキは花束を送ると、すごく喜んでくれる、だから、季節の花じゃなくても、花言葉で伝えたくて
遠くまで買いに行った事もあるよ。
七夕の時、あの花、なかなか見つからなかったんだ」

「そうなんだ。私は、たあは、女の子には必ず花束をあげるんだと思ってたよ」と言った

「キキ?キキの手料理が食べたい」
「手料理?たとえば?」
「唐揚げ」
「いいよ」

「じゃあさ、キキ来週の土曜の夜時間ない?」
「土曜?うん大丈夫だと思う。私
全然出かけないから、たまに出かけるくらい平気」
「じゃあ土曜、花倉駅で待ち合わせは?」
「いいよ。私は、今住んでる所からだと、車で1時間位だよ。
私ね今、森園駅の近くに住んでるんだ」
「森園?一軒家?」
「うん、真っ白の一軒家」
「そっか、わかった、また、明日も電話するね。」

私達は久々に会う日までも毎日電話をした。
懐かしい話し今の話し
私の夜の楽しみだった。

ついに久々に、たあに会う日が来た
花倉駅へ行くと、
スーツに花束を抱え、たあは立っていた。
「久しぶり」
「久しぶり」
「はい。マーガレット」
「マーガレット?花言葉は?」
「秘密」
「また、秘密?、あ、唐揚げ。」
私はそういうと
「キキ?キキがもう会わないって
言った時覚えてる?ホテルで?」
「あー、たあ、飛行機の時間だったのに、黙ってた時?」
「そう。あのホテル行かない?」
「うんわかった」

私達はホテルに着いた。
たあは、唐揚げを食べた。
感想も言わないで落ち着きがない。

「ねえ、感想は?」
「あ、ごめん。本当おいしい。
だけど、なんか、キキが目の前に居ると思うと信じられなくて。
夢でも見てるみたいで。」と
ソワソワしてる。
「俺ちょっと水浴びて頭冷やす」と
お風呂へ行った、

「あー、ちょっと落ちついた。
キキ?抱きしめてもいい?」
私はうなずいた。
「息ができないよ」
「ダメだ、このままだき潰して自分の物にしたい」
たあは、たくさんキスをした。
昔みたいに、ずっと、ずっと

「ねえ、たあ、私達いつもこうしていたのに、やってないんだよ?
なんで?やらなかったの?」

「え?やってない?」
「やってないよ」
「あー、そうだ、俺、あの時やるとか
どうでもよかったんだ。
性欲とかじゃない。
ただ、ずっとキスをしていたかったんだ」

「私、たあは、私にはその気にならないんだと思ってた」
「え?本当に。ごめん。俺、言葉足りなかったんだね?キキを大切にしたかったんだ、ただ、それだけなんだ
そうか?なんか、思い出すと不思議だな、キキ以外の子とは、すぐにやったのに、俺キキとやらなかったんだ、
自分でも、自分が不思議だよ」

「私はただ、不安だった」
「ダメだね、俺、夢中になりすぎて
間違えてたな」

たあは、その日もやらなかった。
「いつか、キキを抱くその時がきたら」

「そろそろ帰ろう?」
私はそう言って、たあの手の甲にキスをした。

「キキやめて、帰れなくなる、」
と、たあは真面目な顔で言った

帰って
マーガレットの花言葉を調べた
【マーガレット】花言葉
【真実の愛、秘密の愛】



「明日も電話するね」と
たあは言ってた
だけど、次の日電話は無くて
連絡しても帰って来なかった

数日後、夜12時頃電話がきた

「もしもし」

「あの、今ね、目の前に嫁が居て
電話をしろって言われてかけてる
もう、連絡しないから連絡してこないで」
そう言うと電話を切った。

奥さんにバレたんだ。
何がばれたんだろ?
もう、連絡できないな。
また、変な終わり方になったな
私はそう思ってた。

しばらくすると
知らない連絡先からメッセージが届いた
URLが付いていた。
私は開いた
曲が流れた。

【今日はどうしても伝えたい事があるんだ。普段はめったに言わない言葉の中から、愛してる。

あの約束も果たせないままだね?
君と2人で手を繋いで、出かけよう。

愛しているよ、愛しているよ
伝わら無くて、困らせてばかりだけど
本当はいつも、伝えたいと思っているよ。

言葉にすれば、簡単なのに、
言葉じゃいつも素直に伝えられない
でも、今日だけは言えるように
君をあいしてる、♪】


たあからだと思った。
私は何度もその曲を聴いた

たぶんもう会えない
だけど、私を愛してくれる人がいる
それだけで、幸せだった。
私はマーガレットの写真をとり
待ち受けにした。


数ヶ月たち、
嵐の夜
たあから連絡が来た。

「5分でいい、家の外に出て」

外は大雨だった。

家を出て少し歩くと
スーツでびしょ濡れのたあがいた


「真っ白の家って言ってたから」

そう言うとたあは、私を強く抱きしめた。
雨はすごくて。傘に落ちる雨の音で
何も聞こえない。

たあは、キスをして
「キキ?愛してる」
そう言って、私の顔を両手で押さえ
じっと見つめてまたキスをすると
すぐに、振り返り、帰って行った。

それっきり…

私は45歳になる。

まだ頭の片隅に、
あのバスの中のキラキラした少年と
雨に濡れた、大人の姿がある。

ねえ、たあ?
私がこの世を去る時、私の瞳に
たあが映るの?
その時は何の花束をくれる?
最後は、花言葉を教えて、

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