年下男子は恋愛対象になりますか?
『ねぇねぇ、その大学生らしき子ってどんな感じだったの!?』

私とは対照的で大きくなっていく声。
田舎の駅とはいえ、乗り換えで待ってる人がそれなりにいるわけで。ボリュームを気にせず話せるのは家に着いてから。

「黒髪で細身でイケメンだったことしか覚えてない。あ、私よりも背が高かった気がする」

『イケメンなの!?やったじゃん!同じホームに居る可能性があるならさ、その人の写真撮って送ってよ!是非とも顔を見てみたい』

「は!?絶対に無理!他人事だからって楽しんでるでしょ」

ここで、まもなく電車が到着するというアナウンスが流れた。このホームに来てから既に10分経っていたらしい。

「あ、ごめん!電車来るから切るね」

『えー、残念。そんなに深く考えないでさ、よっぽどタイプじゃない場合は別として、気軽に連絡してみても良いんじゃない?勇気出して告白してくれたんだろうし、詐欺だと思ったらブロックすればいいじゃん』

これもきっと、他人事だから言えること。
いや、美樹ならそうするかもしれないけど。

「……考えてみる」

『うんうん、前向きにね』

「もう!面白がらないでよ。切るからね、じゃあね」

美樹の返事を聞く前に、一方的に通話を終了させた。
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