年下男子は恋愛対象になりますか?
「こんばんはー。予約していた高橋です」

先に入った美樹が、予約していた私の苗字を告げた。どんどんうるさくなる胸の音。

「いらっしゃいませ。ご予約の高橋様ですね。お待ちしておりました、どうぞこちらへ」

後ろに隠れるようにいたから店員の姿は見えなかったけど、声で女性だということが分かった。

隼人君に予約してもらったこともあって、今日来ることは知られている。それでも帰りたくて仕方がなかった。

「いいお店じゃん」

「やっぱりお腹痛い気がする」

「もう諦めなって。だいたい由夏は緊張してもお腹痛くなるタイプじゃないでしょ」

美樹は歩くのを止めてくれない。
諦めて、うつ向きながらついていく。

写真で見た通りとってもお洒落な店内だった。
半個室となっていてる奥の席に案内され、テーブルにお水とおしぼりが置かれる。

「お決まりになりましたら、こちらのボタンを押してお呼び下さい」

テーブルの端に置かれた「ご予約席」と書かれているプレートを回収し、女性店員は会釈したあと去って行く。

グラスに口をつけてみても落ち着くことはなかった。美樹が「このお水美味しい」って言ってたけど、それどころじゃなくて味なんて分からなかった。
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