年下男子は恋愛対象になりますか?
「由夏、何頼む?お酒の種類も豊富だよ」

「いや、お酒はやめとく。ノンアルコールビールある?お腹空いてないから、料理は適当に選んでおいて」

お酒は好きだし飲みたい気持ちもあるけど、この状態で飲むと悪酔いしてしまいそうで選ばなかった。

目の前に置かれたメニューを開く気になれなくて、緊張をどうにかしようとグラスに何度も口をつける。

「隼人君がオーダーとりに来るかな?楽しみだね」

美樹が呼び出しボタンを押す。
隼人君が来るかもしれないと思ったら更に落ち着かなくなった。手汗も酷い。

「もう!美樹は他人事だから良いよね。ちょっとトイレ行ってくる」

「はーい」

鞄を手に持ちカーテンをくぐって通路に出た時、オーダーを取りにきた男性店員と鉢合わせしてしまった。

いやいやいや、来るの早すぎでしょ!
ドキッとしたけど、軽く会釈してその場を去る。

私は隼人君の顔をよく覚えていなかった。
黒髪で細身の人は他にもいるだろうし、それらしき人に会う度ドキドキしていたら身がもたない。

落ち着け、落ち着け。
トイレにある鏡の前でそう言い聞かせた。
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