年下男子は恋愛対象になりますか?

車内アナウンスが響きわたり、もうすぐ駅に着くことが知らされた。男性はまだ体勢を戻そうとしない。

もー、お願いだから起きて!

次は終点。他の乗客達は降りる準備を始めている。このままでは降りられないので、意を決して起こすことにした。手に持っていたままだった、私のスマホをギュッと握りしめる。

「あの……、もうすぐ着きますよ?」

男性の左太ももをトントンと叩きながら、恐る恐る声をかけた。起きて。お願いだから起きて。

「ん」

良かった、反応してくれた!

「あの、もうすぐ終点ですよ」

「……えっ!?すすす、すみません!本当にすみませんでした」

この状況を理解したのか勢いよく姿勢を戻し、さっきよりも顔を赤くして謝ってきた。

起きてくれて本当に良かったよ。
起きてくれなかったら、どうしようかと思ったし。

「いえ、気にしないで下さい。大丈夫ですから。じゃあ私はこれで」

笑顔を繕って足早に電車を降りる。
緊張で心臓バクバクだったけど、我ながら大人の対応が出来たと思う。
< 4 / 725 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop