年下男子は恋愛対象になりますか?
「由夏さん、やっぱり俺がやりますって」

「ダメ。隼人君はゆっくりしててよ。あと5秒のうちに戻らなかったら、本当に帰っちゃうからね?」

朝食を終えて身支度を整えた後、私達はキッチンにいた。

作ってもらったから片付けは私がやるって言ってるのに、隼人君は私の横に立ったまま譲らない。

「由夏さんって意地悪な時ありますよね。そういうところも好きですけど」

「隼人君もね。じゃあ数えるよ?いーち、にー」

スポンジに洗剤を付けながらそう言うと、隼人君は渋々戻って行った。

そこまで気遣ってくれなくても大丈夫なのに。激しくし過ぎたって言われてるみたいで恥ずかしいし、普通に接してほしい。

2人分の食器はあっという間に片付いて、最後に手を洗っている時だった。突然、隼人君が後ろから抱きついてきた。

「ちょ、どうしたの?」

「やっぱり地元の学園祭に一緒に行きましょう」

「え?でもその日は大切な用事があって」

抱きしめられた腕に少しだけ力が入る。

「すみません、気になって学園祭のスケジュール調べちゃいました。ライブより大切な用事って、俺の誕生日であってます?」

隼人君の声は甘くて優しい感じに戻っていた。少し前まで可愛かったのに、今はその欠片もない。

「俺って由夏さんの1番なんですか?」
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