年下男子は恋愛対象になりますか?
「……1番に決まってるでしょ」

その後に小さく「やった」と呟いた隼人君。
敬語じゃないのも新鮮だったけど、喜んでくれているのが伝わってくる。

私の中でとっくに1番になってるよ。だから、迷うことなくライブよりも誕生日を優先した。

「でも、隼人君の誕生日にライブは行かないからね?その気持ちだけありがたく受け取っておくよ」

ライブは私の好きなもので、隼人君の好きなものではない。隼人君の誕生日なんだから、私のことなんか気にしなくていいのに。

教えないようにしていたのに、こんなに早くバレるなんて。

「その日にどうしても行きたいんです。お願いします」

「自分の誕生日なのに?」

「はい。ダメ、ですか?」

こんな聞き方をされたら断れない。

隼人君の行きたいところに行こうと思ってたのに、この感じじゃずっとライブって言われそうな気もするし。

「ダメじゃないけど……」

「じゃあ、決定でお願いします」

顔を見て話したくなって、抱きしめられている腕をどかそうとしても全く動かなかった。

「ねぇ、洗い物終わったしあっちで話そうよ?」

「すみません、もう少しだけこのままでいさせて下さい」

隼人君の誕生日は、私にとっても思い出の日になりそう。
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