年下男子は恋愛対象になりますか?
「全然大丈夫です。立ち話もなんですし俺の部屋に行きましょう」

柔らかく微笑んでいつものように手を繋いでくる。隼人君が歩き出そうとしたけど、私は手と足に力を込めた。

「ううん。明日も仕事だし今日は帰るね」

「え、金曜のお礼を言う為にわざわざ来てくれたんですか?……もしかして健太さんから連絡きたりしました?」

こうやって平日の夜に会いに来たのが初めてだから、変な方向に疑われてしまっても無理はない。ランチの写真を送ったのも今日が初めてだったし。

「連絡なんてきてないよ。ただ隼人君の顔が見たくなっただけ。部屋に上がらないのは、帰りたくなくなっちゃうから」

アパートの階段下で、手を繋いだまま向き合っている私達。深夜だから空は真っ暗だけど、蛍光灯のおかげで隼人君の表情は確認できた。

「すみません、少しだけ俺に時間を下さい」

さっきよりも力強く手を引かれ階段を上る。
そして、隼人君の部屋の前で止まった。

「ちょっ、家には上がらないって言ったじゃん」

「じゃあ、ここで抱きしめてキスしてもいいですか?」

「ダ、ダメに決まってるでしょ!」

鍵を開けドアを開けると、また手を引っ張られた。乱暴に靴を脱ぎ捨て奥へと進む。

「勘違いじゃないと思うんですけど、前より俺のこと好きになってますよね?」

ベッドには押し倒されなかったけど、立ったままおもいっきり抱きしめられてそう聞かれた。
< 529 / 737 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop