年下男子は恋愛対象になりますか?
「ちょっと佑介、そのこと由夏は知らないんだから話をややこしくしないで。これ以上余計なこと言わないでよ?」

「おっと悪い。聞いてないみたいだしセーフだよな?」

さっきのことで頭がいっぱいで、目の前で小声で話している2人にも気が付かない。

私がハッとしたのは、隼人君が佑介の飲み物を持って来てくれた時だった。

「由夏さんも何か頼みますか?」

メニューブックから隼人君の方に視線を移したけど、直視出来なくてすぐに戻してしまった。ダメだ。どうしても隼人君の顔が見れないよ。

「いや、大丈夫……です」

「ひどーい。私と佑介には全然反応してくれなかったのに、隼人君の呼びかけには1回で反応したー」

「何で急に敬語になるんだよ」

美樹にまたからかわれたけど、こればボーッとしていた私が悪い。そこに佑介のツッコミが入って、更にいたたまれなくなる。

「ごめん!先に帰るね!悪いけど美樹は佑介に送ってもらって」

「それは良いけど本当に帰るの?まだデザート食べてないじゃん」

誰とも目を合わさず、鞄の中から財布を取り出す。そして、お札をテーブルの上に置いた。

「佑介にあげる!じゃあ、そういうことで」

立ち上がった時に隼人君の顔を一瞬だけ見たけど、恥ずかしさが勝って急いで入り口に向かう。

「あーあ、俺来たばっかりなのに由夏帰っちゃったじゃん。美樹がからかいすぎたせいだろ」

「えー、佑介だってからかってたじゃん。それより隼人君、由夏のこと追いかけなくていいの?今なら引き止められるんじゃない?」

「そうしたい気持ちもありますけど仕事中ですしね。それに、追いかけても来ないでって言われそうじゃないですか」
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