年下男子は恋愛対象になりますか?
***

「由夏さん、お願いですからそんなに怒らないで下さいよ。さっきは本当にすみませんでした。悪気はなかったんです」

ソファーの前に座って黙々とスマホをいじっていると、焦りながら隼人君が謝ってきた。

「さっきも言いましたけど、音楽聴いてるだろうなって思って声かけなかっただけなんです。由夏さんの反応を見て楽しむとか、そんな気持ちは全くなくて」

嘘だ。ドア閉めてってお願いしたのに、バスタオルだけ取らせて下さいって言って、平然な顔して取ってたくせに。

私が出る時だって声かけたんだから、そう思ったとしても普通は声かけるよね。

「今日はいつもみたいに髪乾かしてくれないんですか?」

隣に座って様子を伺ってくる。

「あ、さっき買ったチョコミントのアイスでも食べます?」

隼人君にしてみたら何でそこまで怒ってるのって思うかもしれない。明るいところで見たことがないとはいえ確かに今さらだし。

意地悪なのも知ってる。
でも―――……

「それともチョコの方がいいですか?俺持ってきますよ」

どうやら食べ物で機嫌が直ると思われてるらしい。隼人君の方を向くと、ホッとした表情を浮かべていた。

「いらない。今は甘い物よりもお酒飲みたい気分だからコンビニ行ってくる」

今日は皆にからかわれすぎて疲れたのか、無性に飲みたくなった。今まで隼人君の家で飲んだことなかったのに。

「え?ちょ、ちょっとだけ待ってて下さい。すぐに髪乾かしてきますから、絶対に1人で行かないで下さいね?」

「もう全然怖くないし私1人で大丈夫だから。隼人君のキャップ借りるね」
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