年下男子は恋愛対象になりますか?
鞄から財布を取り出して、部屋にある隼人君のキャップを深くかぶる。すっぴんにメガネ姿なので、せめてものアイテム。

「いや、深夜ですし1人じゃダメですって。俺も行きますから待って下さい」

スマホと財布を持って私の後ろをついてきた。玄関のドアを開けられないように手で押さえながら、急いで靴を履いている。

「……髪濡れたままだけどいいの?」

「真夏ですし、すぐに乾きますよ。それとも少しだけ待っててもらえます?」

「待たない」

「ですよね」

隼人君が鍵を閉めてる間も、私は外廊下を進んで行く。

こんな態度をとってるのにも関わらず、追い付かれたと思ったら当たり前のように手を繋がれた。離そうとしても離してくれないし、めげないな。

まぁ、怒ってるのに帰らない私も変だけど。
気付いてる?私、財布しか持ってきてないんだよ。

「あの、もう一緒にお風呂入りたいとか言わないので許して下さい。由夏さんなら怒らないかと思って、色々と調子に乗りすぎました」

ほら、やっぱりわざとじゃん。
反応見て楽しんでたんだよね。私だって怒るし、まだ許してあげないんだから。



「あれー、やっぱり由夏と隼人君じゃん。こんなとこで会うなんて奇遇だね」

コンビニの駐車場を歩いていたら、どこからか美樹の声がした。気のせいかもと思ったけど、近くに停めてあった車の助手席が開く。

「手繋いでラブラブだね……って、由夏どうしたの?顔怖いよ?」

降りて近付いてきた美樹。
その時に隼人君が手を離してくれた。
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